習慣化の見えない壁を突破する:冷水行25年継続から見えた習慣のカラクリ

習慣化の「見えない壁」を突破する

冷水行25年継続から見えた、習慣のカラクリ

 

「冷水行を25年間も続けるなんて、私には絶対無理だ」

 


そう思われるのは、ごく自然な反応だと思います。毎朝、冷たい水を浴びるという行為( ただし、どうしても朝できない場合は、夜のケースもある。あるいは出張の場合はホテルでやるなど)は、本能的には避けたい「不快なタスク」ですし、それを四半世紀も続けていると聞けば、ほとんど「超人的な努力」に聞こえるでしょう。

 


それに、このSNS時代にこんなことを書くと、

 

  • 「うそだろ」
  • 「盛ってるんだろ」
  • 「宗教かな?」
  • 「誇張してるに決まってる」

 


といった反応が出てくるのも、十分に予想されます。

 


とりあえず、嘘ではないんですが……((-_-;)

 


とはいえ、そもそも私のような動機で冷水行を長年継続できる人は、一般にはそう多くないだろうとも感じています。

 

 

 

百人に一人、いや千人に一人いるかどうか、というレベルかもしれません。(このあたりの数字は、AI<Gemini>とのチャットでの見立ても参考にしています。正直に言うと、「もうやめようか」と思ったことも何度かあります。)

 


そして、これはあくまで私個人の事例です。新たな高次の意志の力や、習慣を統御する力、自己像の変化を説明するには分かりやすい例なので紹介していますが、一般の方に積極的におすすめしたいものではありません。

 


実際のところ、体調があまり良くないときや、風邪っぽいときでさえ冷水行を続けてきた時期もありました。こうしたやり方は、決して安全とは言えませんし、真似してほしいとも思いません。

 

しかし、私の実感としてはこうです。

 

長期間の習慣化には、「世間が言うほど、大したことではない」という、はっきりしたカラクリがある。

 


なぜなら、ある種の行動は「深い領域で構築されるまで」が一番大変であり、一度そこまで到達してしまえば、よほどのことがない限り「ちょっとしたメンテ」で済むようになるからです。

 

この記事では、

  • 「深い領域で構築される」とはどんな状態か
  • 凡人でもどうやってその壁を越え、習慣を長期継続させられるのか

 


を、私自身の冷水行25年の経験と、心身統一法の考え方をベースに解説します。

※ただし、冷水行そのものを一般の方におすすめする意図はありません。あくまで「極端な事例」として読んでいただければと思います。

 

1. 「深い領域での構築」とは何か?

 

私たちが行動を続けられない一番の原因は、

 

  • 知識や理性(顕在意識)の指示
  • 無自覚な習慣を司る潜在意識(動物心、植物心)の指令

 

が、常にぶつかり合っているからです。

 


心身統一法でいう「不要残留本能」や「消極的な心象材料(心のゴミ)」は、この潜在意識の深いところにこびりついています。

 

ここでいう「深い領域での構築」とは、

 


理性の指示が潜在意識レベルにまで浸透し、行動が「意志の力」や「気合い」に頼らなくても、ほとんど自動運転モードで実行される状態

 

を指します。

 


脳科学的に言えば、ある行動に対応する神経ネットワークが強固に形成され、そのルートが「標準ルート(デフォルト設定)」になるイメージです。

 

冷水行を始めた当初は、

 

  • 「やめたい」
  • 「今日は寒いからパスしたい」

 


という本能的な抵抗が出ます。しかし、ネットワークが定着してくると、ある段階で

 

「やらない方が気持ち悪い」

 


という逆転現象が起こります。ここまで来ると、習慣はもはや「がんばる対象」ではなく、やって当たり前の生活の一部になります。

 

2. 理性では打ち破れない「習慣の壁」の正体

 


習慣化が難しい最大の理由は、人間の心身を支配しようとする「不要残留本能」という強力な衝動にあります。

 

人間には本来、

 

  • 生きるために「闘い、食べる」
  • 危険から逃れるために「恐れる、逃げる」

 

といった、生命防衛のための本能が備わっています。要するに、本能的に、ある不快な状況に陥ったら

「闘うか、逃げるかの二択しかない」っていう肉体本能に基づく心の防衛的働きです

 


この本能が理性心と相まって過剰に働くと、

 

比較・不足感にもとづく防衛反応(怒り・嫉妬・傲慢・取り越し苦労 など)

 

という形で、無意識のうちに私たちの心と行動を動かしがちです。

 

この不要残留本能が強くなると、

 

  • 我利我利と利己的に働きやすくなる
  • 不機嫌・不正直・不親切な方向へ傾く
  • 自律神経と繋がった無意識的な心のうち「植物心(潜在意識)」にショックが入り、機能不全を起こす条件を作る

 

と考えられています。

 

結果として、

 

  • 心が冷え、暗くなる
  • 闘うか、逃げるかしかなくなり、万物の霊長として与えられた包括的かつ俯瞰的な霊性心の発動が妨げられる

 

という悪循環にはまっていきます。

 

冷水行は「万人向けの手段」ではない

 

ここで強調しておきたいのは、

 


冷水行は、こうした不要残留本能に逆らう一つの極端な手段であって、一般の方に無条件でおすすめできる方法ではない

 

ということです。ちなみに、私は山に籠って滝行などはやったことがありません。生活行法です。それでも、手放しで薦めるものではないので念のため

 


体質や健康状態によっては、身体への負担やリスクもありますし、自己流で無理を重ねるのは望ましくありません。ですので、この記事の主題は「冷水行のすすめ」ではなく、

 

どんな習慣でも、「深い領域」まで構築されるとラクになる

 

という原理そのものにあります。

 

多くの方には、

 

  • 感謝日記
  • 毎朝の黙想・祈り
  • 誰かへの親切を一つ実行する

 

といった、より穏やかで安全な習慣の方が、現実的で取り組みやすいと思います。

 

3. 凡人が壁を越えるための「段階的習慣化プロセス」

 


理性の指令を潜在意識に定着させるうえで、もっともつらいのは「最初の数週間〜数ヶ月」です。

 

この時期を乗り越えるには、

 


心身統一法で培われる「高次の意志」を土台にしつつ、

ごく短い期間の目標をクリアし続けることで、潜在意識を段階的に書き換える

 

というアプローチが有効です。

 

私自身の動機について

 

私が冷水行を始めた動機は、

 

  • 学生時代の自分自身への情けなさ
  • 天風哲人の方法(心身統一法)の効果を、自分の身で実証したい

 

といった、かなり極端なものでした。

 

一般的にはもっと身近なもので構いません。

 

  • 「霊性満足の欲」から生まれる行動ルート(感謝習慣など)
  • 誰かの役に立ちたいという利他的な動機

 

こうした方向づけの方が、不要残留本能を抑制しながら進めやすいと思います。

 

ポイントは「一気に25年を目指さない」こと

 

どのような動機であれ、いきなり長期目標を掲げないことが肝心です。

 

「達成できる最小単位」を設定し、その小さな成功体験を積み重ねること

 

これこそが、潜在意識を書き換える最も確かなプロセスです。

 

4. 段階的習慣化の具体例(冷水行の場合)

 


冷水行はあくまで私の例ですが、「見えない壁」を超えていくステップとして整理すると、どんな習慣にも応用できる部分があります。

 

STEP 1:7日間 — 「継続は可能」という証拠をつくる

 

  • 目的:最初の強烈な抵抗を乗り越える訓練
  • 効果:

    • 「自分でも7日間は続けられた」という成功体験が潜在意識に刻まれる
    • 「やればできる」という自己像の種が生まれる

 

STEP 2:21日間 — 習慣化の第一関門を突破する

 

  • 一般的に「行動が習慣になり始める」と言われる期間
  • この頃から、「やるのが当たり前」に近づき始める
  • 「やりきった」という達成感で、自分の心(身)にポジティブなフィードバックを返すことが重要

 

STEP 3:3ヶ月 — 「やらない方が気持ち悪い」段階へ

 

  • 目的:習慣の定着
  • この段階になると、

    • やらないと逆に落ち着かない
    • 生活のリズムの一部として組み込まれる

  • 神経ネットワークが強固になり、実行に必要な「努力」が一気に減っていく

 

STEP 4:半年〜 — 自動運転モードの完成

 

  • 目的:完全な自動化
  • 習慣がほぼ崩れなくなり、特別に意識しなくても実行できる状態へ
  • あとは状況に応じて「メンテナンス的に意識を向ける」程度でよくなる

 


最初から「25年」を目標にするのではなく、

 

7日 → 21日 → 3ヶ月 → 半年…

 


と、階段を一段ずつ上るように目標を設定し、そのたびに

 

「自分(仮我)はできる人間だ」という観念を潜在意識に上書きしていく

 

ことが、継続のエネルギー源になります。

 

5. 習慣化を支える「思い方の方向付け」

 


もう一つ、長期継続に欠かせないのが「思い方の方向付け」です。

 


誰もが経験する「三日坊主」ですら、その後の心の扱い方次第で、エネルギーがまったく変わります。

 

ネガティブな方向付けの例

 

「どうせ続かなかった」
「やっぱり自分はダメだ」

 


こうした自己否定の言葉は、心のエネルギーを一気に下げます。不要残留本能にエサを与えてしまうようなものです。

 

ポジティブな方向付けの例

 


「3日間は本気でやれた。誰が何と言おうと、その3日はやりきった自分がいる」

 


このように、自分の中の「できた部分」に光を当ててやると、心のエネルギーはまったく違う方向へ動き出します。
仮の我が順同状態になりやすいです。

 

「見える化」と「認めてあげる」がカギ

 

ドロップアウトを防ぐために有効なのが、

 

  • 簡単な記録をつけて「見える化」すること
  • できた自分をきちんと認めてあげること

 

です。

 

私自身も、

 

  • 天風先生
  • 黒住宗忠公

 


といった巨大な先人たちが続けてこられたことを、「初心忘るべからず」の支えとしてイメージしながら続けてきました。

 


当然ながら、挫折しかかったことも幾度かあります。それでも、心身統一法をベースとして継続してきたおかげで、

 

  • いわゆる「繊細さん」的な過敏さから離れ
  • 自律神経の調子も戻り
  • 根気や耐久力も増し
  • 自己信頼も以前より確かに高まった

 

と実感しています。

 

6. 結論:継続の「力の要り方」は途中で変わる

 


冷水行を25年続けていると言うと、どうしても「特別な人」や「超人」のように見られがちです。

 

しかし、その実態はとてもシンプルです。

 

最初の数ヶ月という「神経ネットワーク形成の壁」を、段階的かつ戦略的に乗り越えたかどうか

 

に尽きます。

 

一度、神経ネットワークが「深い領域」で構築されてしまえば、

 

  • 続けるために必要な「力の要り方」がガラッと変わる
  • あとは「よほどの事がない限り、ちょっとしたメンテ」で済む

 

ようになります。

 


「25年なんか無理だ」という世間の感覚に対して、私が「世間が思っているほど大したことはない」と言える理由は、まさにここにあります。

 

おわりに:凡人が長期の自己変革を成し遂げる道

 


心身統一法の実践によって高次の意志を引き出し、小さな成功から習慣を築き上げていくこと。

 

  • 一気に長期を目指さない
  • 「達成できる最小単位」で区切る
  • 記録して、認めて、心のエネルギーを良い方向に向ける

 

この積み重ねこそが、

 

凡人でも長期的な自己変革を達成するための、最も確かな道筋

 

だと、私は冷水行25年の経験から、心からそう感じています。