chatGPTやgemini,claude,DeepseekなどのLLMの進化はすさまじいものがあります。
つい2年前までは、例えばgpt4のレガシーモデル(2023年3月)は日本の高校入試の数学の問題(特に図形絡み)を解けないというケースを度々体験しました。実際に、様々なテストをしたところ、当時の正解率は高くなかったです。
ところが、2025年半ばの今や、先のAIは、高校入試どころか、日本の大学院の高度な数学の問題を解けるレベルに至っています。
特に数学などの推論系はGemini2.5Flashが優れているように思います。使って比較のテストをしてみた主観的な感想では。
推論能力を飛躍的に向上させたのは「チェーン・オブ・ソート(CoT)」と「ツリー・オブ・ソート(ToT)」といった段階的な推論手法です。
これらは、LLMに「思考のプロセス」を明示的に、あるいは暗黙的にたどらせることで、より正確で信頼性の高い推論を可能にしたと言われています。
今回は、大学院の院試の数学の過去問(以下)の一つをAI( Gemini2.5Flash )に解かせた事例を紹介してみます。
https://github.com/Seasawher/graduate_exam/blob/master/graduate_exam.pdf
それだけでなく一般に高度な問題を学習者が理解しやすくするために、どのようなプロンプトを与えたか?というのを掘り下げて解説してみますね。
こういうプロンプトの研究を深めていったら、金銭的に高額な塾に通うのが難しい家庭の子供さんであっても、学習者に意欲さえあれば高度な学びも可能になります。
生徒一人ひとりの理解度や学習スタイルに合わせて、最適な教材を生成したり、質問に答えたり、つまずいている箇所を特定して個別指導を行ったりもできます。
使い方次第ですが、画一的な教育ではなく、真にパーソナライズされた学習体験が可能になります。
教育の機会均等や平等化にも貢献出来る( 生涯学習にも可能性が広がる )ことが期待できますから。
という前置きをして・・
先ず、今回サンプルにさせていただいた問題は京都大学の大学院の入試問題( 平成31年度から抜粋 )の以下です。
こういう分野は、私自身、あまり得意ではないのですが、AIの進化を知ってもらうのによいと思うので、あえて選びました。
この問題をGemini2.5flashに解かせたところ以下の解答でした。
上記のgeminiが解答したものは、模範解答とも一致していました。
二重積分や複雑な概念がてんこ盛りの良問です。解答も美しいです。
問題文にあるような複雑な式がαだけで表される式になっています。
さて、ここからが本番です。
この回答内容に対し以下のプロンプトを与えました。
※あなたが、にすべきところを´が´が抜けていますが、そこはご容赦を。
「 一流の家庭教師 」という役割を与えるというのはセオリーですが
それに加えてTRIZ視点でというのを加えていることに注目してください。
これが、非常に有効なキーワードになります。
これを、うまく使うだけでも、あなたのAI活用力は飛躍的に上がるはずです。
このプロンプトに対するgeminiの回答は以下でした。
この方針に対して、さらに追加で以下のプロンプトを与えました。
geminiの回答は以下です。
以上のように、非常に興味深い学習計画を立ててくれました。
院試の高度な問題を解けるだけでなく、家庭教師として、パーソナライズされた学習計画を立てて、助言してくれるのも素晴らしいところでしょう。
もちろん、この問題は、いくら優秀な高校生でも高校過程で習う範囲を超えています。
ですので難しいと思います。
ですが、段階的に取り組んで、興味をもって学んでいけば、
理系の平均的な高校生でもgeminiなどのAIの力を借りれば理解出来て´ 解ける可能性がある ´ということは言えると思います。
実際、どんな基本的なことを質問してもGemini は誠実に応えてくれます。
とにかく学習者が諦めない限り、AIは、とことん24時間体制で、つきあってくれます。
博士を家庭教師として雇っているようなものです。
学習者に意欲さえあれば高度な学びも可能になっているということは言えるでしょう。
教育の機会均等や平等化にも貢献出来ることが期待できますから。
ちなみに、ただの遊びで終わらせず、今回の問題を解くプロセスで大学入試レベルの問題も解けるようになるためのプロンプト(の一部)についても、参考までに以下に掲載しておきます。
上記の添付画像をGeminiにアップして以下のように依頼します。
Gmeiniの回答は以下でした。
eを含む積分問題の段階別解説
さらに追加で以下も添えるとよいでしょう。
〇〇のことが、あまりわかってない生徒に教える際に、何に注目させて教えますか?
思考プロセス(問いやつぶやき)も実況中継しながら解説できますか?というようなプロンプトにします。
上記のように、Geminiに、自身の思考プロセスも提示してもらえるようにすることが秘訣です。
冒頭に、チェーン・オブ・ソート(CoT)」と「ツリー・オブ・ソート(ToT)の件を解説しましたよね。
それをAIに開示してもらうように依頼するといったらわかりやすいかもしれません。
こうすると論理の飛躍がなく生徒(学習者)が躓きにくくなります。
PS
今回の一連のチャット以外に、Claudeに依頼して作ってもらった上記の問題を解く際の助けになるツールを以下に掲載しておきますね。
こういうものもノーコードで、自分で記述せずとも2分程度でAIに作製してもらえます。
コードなど知らない学校の先生でも高度なものをプロンプトを与えるだけで簡単に作れるようになっています。本当に学習革命ですね。